綴る

文章を書くこと POPEYE TOWN TALK

4月の文喫での展示会では、各メンバーが書き上げた文章の仕上げを私が担当したのですが、限られた文字数、背景ストーリーが多い篠原紙工の本づくりのことをなるべく端的にわかりやすく、でも書き手の想いは削らないように..とまるでパズルを組み立てるような作業をしていて、常に頭の中に重石みたいなものが入り込んだ状態でした。

展示期間中、会場で紙に印刷された文字を見返すと、初めて見た人にこの情報量ではわかりにくかったかも…とか、この言い回しはやっぱり堅かったかなぁ、とか、考え出したら着地しなくてキリがありませんでした。文章で、これがベスト!と思えることはないのかも?しれません。

文章といえば、展示開始とほぼ同時ぐらいに雑誌 POPEYEのウェブコラム「TOWN TALK」というコーナーでの寄稿のお話が篠原紙工に届き、私が担当することになりました。先方は紙加工のことを期待されていたかもしれませんが、私が製本のことを書いても全く面白くないので私が入社してからの篠原紙工の変化や私たちが大事にしていることをテーマに書かせていただきました。

印刷製本紙加工の業界では、篠原紙工の名前が出ることが多少はあるかもしれませんが、もっと広く世界を見た際には当然ながら、篠原紙工は小さな一企業に過ぎず。この寄稿によって私たちのような製本会社の存在が様々な方に知られるだけでも嬉しいと思い、いろいろ考えながら文章を作りました。

展示に引き続き、私が入社してからの8年の変化と私たちが大事にしていることを改めて、文章に書いてみたのですが…。文章って本当に自分と向き合う作業です。「本質をさぐる」「チームを作る」「やってみる」書きながら、あれっ、会社全体にまだ浸透しきれてないなぁ。とか、もし浸透してたらこんなことは起こらないよなぁ、とか日々の些細な出来事から現実の点数が出る気がしてしまいます。


文章を書いている自分はというと、思っているだけで伝えきれてなかったり、伝わり方は人それぞれなのに、全員に伝わってると自分本位で思い込んでいることに気づいたりして、何回も手を替え品を替え伝え続けることが大事ってことか…と一呼吸して改め直したり。
あと、何かを書きながら、よく出てくる言葉が、「それ、自分は本当にそう思ってる?」「なんとなく誰かにウケるようにキレイな字面をただ並べてるだけじゃないかね?」と辛辣な意見を言ってくる自分もいて、自分の思考の整理をすると同時に文章を書くことは色んなことに向き合う、直視する一種の修行のような要素もある、とも思うのです。

でも現実を見つめて受け入れてからじゃないと次のステップへはいけない。そのためにも文章を書くことは自分と仲良くする一つのアクションとして、細々とでも続けていきたいものです。機会を与えてくださった方々、またコラムに目を通してくださった方々にも感謝いたします。
POPEYE TOWN TALK 5月
https://popeyemagazine.jp/tag/tabuchi-tomoko-shinoharashiko/

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