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イザベル ボアノさんの展示

ここ数年、気になっているイラストレーターさんがいます。
フランス人のイザベル ボアノさん。
雑誌 「& Premium」などでも連載をもち日本でもたくさん活躍されています。
私が知ったのは NHKのEテレでたまたま見つけた「パリジェンヌの田舎暮らし」というタイトルの番組。パリで活躍していた彼女がアングレームという静かな町に移り住み、そこでの生活の記録や個性的な物作りをしている職人を訪ねて制作の背景や人々との交流を紹介する番組。

かつての自分のヨーロッパ生活が思い出されるのと、日常の物、カゴや器、モヘアのセーターなど、誰の手でどんな想いが込められて作られているかということを知るのは篠原紙工の仕事にも繋がるところがあって、つい吸い込まれるように見てしまったのです。彼女の描くイラストもおもしろくて「ニッポンのおじさん」と題して男性の顔が描かれていたり、年配の方々を集めた「おとしより」シリーズもユーモアある目線で人間が描かれているのがいい。
可愛らしいお菓子や植物、美しい街並みの絵もあるかと思いきや、キモカワイイという言葉がぴったりなセンスもあり、イザベルさんご自身がとても個性的で独特な世界観があると感じ、彼女の発信するイラストを時々見るのを密かな楽しみにしていました。

そのEテレでの番組がこの秋再び新しいシリーズで放送されるとのことで、他にも何か情報あるかな?とInstagramをチラチラと見ていたら、彼女の作品が東京で展示されているとのこと。スマートフォンの画面越しではなく、実際にイラストをこの目で見てみたい!と思い、早速展示に足を運びました。するとその日はイザベルさん主催のワークショップが行われていて、偶然にもご本人もいらっしゃいました。せっかくだからと挨拶を交わしてみたところ、こころよくお返事もいただき、とても有意義な時間でした。また、その展示会場はfog linen workという1階はリネンを扱う素敵なお店で、販売している製品は全てオリジナルというところにもとても心惹かれます。お店の方も丁寧に対応してくれて、リネン製品を買うならここにしたい!と思いました。ホームページも読み応えがあってインスピレーションが刺激されます。

この秋の一つのささやかな楽しみができたイザベルさんの番組。生産者のことを考えたり、身の回りの物と向き合うということも面白さではあるのですが、私がこの番組に惹かれる理由の一つは、彼女の生活から心地よい静寂さがすごく伝わってくること。角度を変えると寂しさにもつながるかもしれないけれど、寂しさはけして悪いものではない。むしろ心に落ち着きを与えてくれるし、その中で見つける自分だけの小さな幸せは内側に強くしなやかな安心感、幸福感も与えてくれる。イザベルさんのライフスタイルを通して私は自分と向き合う時間をつくっているよう。それは彼女のイラストを実際にみても同じような気持ちになりました。

お店を後にし、最寄駅の下北沢に向かって歩いていると、たくさんのお店、にぎやかな声、パチンコ屋の音、行き交う人々、それらが私を現実へと引き戻してくれます。展示とお店で感じた静けさと興奮、この相反する感覚の中にしばらく浸っていようと思ったら、電車の方向を間違えてしまった。

◎イザベル ボアノさん展覧会
11 / 7 ( mon ) ~ 11 / 15 ( tue ) 土日休み12 : 00 ~ 18 : 00
場所:fog linen work

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