綴る

現場復帰

製本会社で断裁は一番の要となる工程。数ミリのズレが後々の折り加工や綴じにまで影響してしまうから断裁を担当する人は責任が大きい。
篠原紙工の断裁担当者は今はなんと中東のオマーンへ大工の修行に行っています。期間は約1ヶ月半。ある再会がきっかけで彼に舞い降りたオマーン国での大工補佐の仕事。「海外で建築関係の仕事にトライしてみたいので、休職させてほしい。」という一言には驚いたけれど、彼の強い決心と生き生きとした意志が感じられて、応援したくなりました。むしろ、オマーンから帰ってきた彼と一緒に働くのが楽しみとさえ思えました。その思いは他のメンバーも同じで、彼を気持ちよく送り出したのがちょうど先週。

篠原紙工は現在、仕事の量と人の数がギリギリのところで頑張っています。
さて、その抜けた人員、断裁担当はどうするか。
みんなの頭にはもう「社長(=篠原慶丞)」しか思い浮かびませんでした。かつてはバリバリ現場をやっていた、とは聞いていますが、その頃の彼を知っている社員はもういません。内心どうなるんだろ…と思っていたのが正直なところですが、今現在、なんとかなっています。人が変われば、機械の扱い方も違うせいか、聞こえる操作音のテンポも違う感じがおもしろい。篠原本人も現場の仕事をやることによって考える視野がとても広がったとか。

一時的に人がいなくなって社内のエネルギーはダウンしてしまうか、と思いきや、何やら新しいエネルギーの渦ができている感じがします。オマーンで全くもって未知なことにチャレンジする彼と同様、残された我々もこの困難を乗り越えひとまわり大きくなって彼の帰国を迎えたいと思います。

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