綴る

篠原紙工の書籍販売(4)

今回の案件では、篠原さんが忠地さんの想いや考えを受け取り、全体のコンセプトを整えながら書籍の内容に見合った装丁の提案、制作の進め方を指示。小原さんがその後の細かな手配やスケジュール作成、全体の進行管理、協力会社との繋ぎ役を担いました。仕様や数量がおおよそ決まってきたのが2021年の4月頃。何度か束見本を作り、最終的に全てが決まったのが6月でした。

打ち合わせを繰り返している間にメール上でも互いの進捗を共有し、頻繁な連絡のやりとりが続きました。そんな日々の中、忠地さんからいつもの様に送られてきたデザイン案を見ると、本文の最終頁に印刷・製本 篠原紙工(篠原慶丞・小原一哉)と名前まで載せてくださっているではありませんか…。そのことにジワジワと嬉しさを感じていると、それ以上に感動させられる言葉が載っていました。

<忠地さんの言葉>
初回打ち合わせの時、急いで仕様を詰めようとしていた私に 「まずはお互いの自己紹介をしましょう。想いに寄り添ってものづくりをしたいので」と語りかけてくれたことが忘れられません。最後の最後まで真摯に向き合ってくれた2人がいたから『あわい』は一冊の形になりました。

これまで篠原紙工の技術や提案内容などを評価してくださり、本文のあとがきや何かしらの媒体で私たちを紹介して頂くことはあったのですが、篠原紙工のスタイルを一番始めに載せてくれていたのは初めてで、中でも私たちが一番大切にしている部分を真っ先に書いてくれたことに何よりも感動しました。

この一文を読み、ほぼ…瞬間的に、です。「あぁ、この本は納品しておしまい、ではなく、最後的にお客さんの手元に届くまで制作チームの一員でいることを続けたい。」と思い、これまで何年間も心の中で沸々とためていた、チームとして深く関わり制作した書籍を自分たちの手で売る。という思いを実現させようと決心したのです。

本の中身、つまりは著者の伝えたいこと、語りたいこと、表現したいこと、その伝え方をどういう媒体にするか?今や数々ある媒体の中で「本」という形を選んでくれた方々には何か特別なご縁を感じてします。「本、紙を選んでくれてありがとう」と素直に嬉しく思います。私たちは製本や紙に対する技術や知恵を駆使するエキスパートであると同時に相手に寄り添い、本当に求めているものを感じとることから仕事は始まります。そして、一方的な寄り添いではなく、互いの関係を尊重することによって本当に良い物ができると信じています。今回は篠原紙工で書籍販売をしようと決心するきっかけとなったストーリーを4回に渡りご紹介いたしました。今後も書籍販売にまつわるお話、日々起こること、感じること、考えること…etc 綴ってゆきますね。

書籍販売 (1) https://www.s-shiko.co.jp/tsuzuru/shosekihanbai-1/
書籍販売(2) https://www.s-shiko.co.jp/tsuzuru/shosekihanbai-2/
書籍販売(3) https://www.s-shiko.co.jp/tsuzuru/shosekihanbai-3/

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