綴る

製本会社が展示する

展示台は製本で芯材に使われるチップボール紙

製本会社という言葉はあまり知られてないようで、「本を作る会社に勤めてます。製本会社です。」というと、まず最初に印刷会社か、出版社に間違えられることが多々あります。
「印刷会社で刷られた紙を断って、折って、綴じて、『本』という形を作る部分です。」そう伝えると相手も徐々に理解してくれて、会話もスムーズに…。

篠原紙工に勤めてから、このようなやりとりを何度もした記憶があります。
ものづくりの会社、と言われれば、それもそうなのですが。
なんだか、私はそれでしっくり来ないところがあります。
そんな、なかなか認知度が低いと思われる「製本会社」が展示をするとは。
「篠原紙工」が展示をするとは。

書籍そのものは私たちの作品ではなく、私たちが「制作を手がけた本」です。でも、今回私たちが表現したいものは、その本を手がける際の想いや背景のストーリー、そして、日々どんな心意気や視点を持って本づくりに向き合っているか。
展示されている本には、紙の種類名も、製本方法や技術のことも、何一つ説明がありません。書いているのは、どんなことで心が動いたか、小さな感動があったか、と感情や心に響いたことばかり。

展示される文章の編集をしながら、人間臭い、泥臭い展示にしてしまったなぁ…。と思いながらも、自分たちの価値はここにあると、改めてこの小さな組織を育むことに喜びを感じました。
2022年3月9日今日から始まる、私たちの初めての展示。
なんだか、新しい気持ちです。

「篠原紙工のしごと」
Open 9:00~20:00入場無料
〒106-0032 東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F
地下鉄日比谷線・大江戸線六本木駅 3・1A出口より徒歩1分
https://bunkitsu.jp/

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