綴る

ご飯と味噌汁から広がる世界

篠原紙工ではお昼に「ご飯とお味噌汁」を食べています。
希望者でお金を出して始めたお昼時間。かれこれ8年近く続き、細々と2,3人の時代もあったのですが、今ではすっかり大所帯となりました。
今までは近所のスーパーまで足で買いにいっていたのですが、毎日7人は食べる規模になるとあっという間にお米はなくなり、買い物だけでも一苦労。ご縁あって千葉県の農家さんから直に買うことにしました。

始めてみると、新米販売のお知らせがメールが届いたりして、生産者の様子も見れて楽しい。配送もヤマトさんが会社まで運んでくれるし、篠原紙工は重い荷物を運ぶのなんて仕事のひとつだから、キッチンのある4階まではエレベーターで楽々。お米の買い物に関してはストレスから解放、農家さん、ヤマトさん、会社のみんなにも感謝しかないなんて思っていると、

突然、30kgのお米が届きました。送り主は我が社の社長。
米どころ新潟のコシヒカリ。お知り合いに農家さんがいるとのことでみんなに買ってくれたのです。そしてなんと、お米とともに新しい機械もやってきました。それは、精米機。お米は玄米の方が保存もいいし、精米仕立てのお米は美味しいよとのこと。なんて贅沢なのでしょう。
田舎の精米所はいったことあるけど、家庭で精米したてのお米を食べるのは初めて。精米機っていろんな機能が付いているのですね。

さっそく炊きたてのご飯をいただきました!もちろん素材だけで十分に美味しいのですが、私の気持ちはそれだけに止まらず、ここまでのストーリーを想像しながら白米を味わいましたとも。心にじんわりと豊かさが広がった感じ。新潟で誰かが美味しい米を育ててくれてる、それをみんなのためと思って誰かが買ってくれる。本当に、「ありがとう」です。そして、精米機は「お米」をより美味しく食べるためにいろんなことができる仕組みの機械になっていて、その基本は日本人の米文化の背景があるからだし。一粒一粒は小さいのにお米は昔から私たち日本人にパワーを与えてくれてるよなぁ…なんて考え出すと止まりません。ただただスーパーで白米を買うだけでは、ここまで感じません。

「ご飯とお味噌汁」みたいにあらためて基本のことを知るってすごく視野が広がる感じがします。精米したてのお米の味を知る、そもそも白いお米の前身は玄米であることを再度確認する。お味噌汁のお味噌はお味噌専門店でキロ単位で購入しているのですが、スーパーで買うものとはやっぱり味が違います。どっちが良い、悪いとかそういうことではなくて、違いを知りながら食の素材を臨機応変に楽しめるって本当に豊かだと思う。精米機も自分ではわざわざ買うものではないと思っていたけど、目の前に突如現れてくれた(買ってくれた) おかげで、お米の一歩奥の楽しさを知れたし。一手間はかかるけれど、なんでもやってみること自体に価値はあります。

お米も、お味噌も、お味噌汁具材の乾物も、本当はそれ専門の商売ができるほど奥が深いものなのに、全部一緒くたに簡単にスーパーで購入できることで消えてしまった豊かさもあるのでしょうね。でも、その代わりに他の豊かさが手に入っているのも確かなことだから、これも良い悪いの問題ではない。でもだったらより自分が豊かだなと思える方を選択したいし、そもそも自分は何に豊かさを感じるかということをこと細かく知っておくことってすごく大事ですね。私たちはそういう小さな選択の連続で毎日を生きているから。

篠原紙工のお昼時間でお世話になっているオススメのお味噌屋さん。
佐野みそ亀戸本店: https://sanomiso.com/

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