綴る

篠原紙工のこれまでについて知りたい

今日は文章が長いです。私からのお知らせもあるので、どうぞお時間がある際にでも目を通してみてくださいね。

篠原紙工に勤めて今年で11年目。
そして、こうやって文章を書くようになったのも同じく11年目です。更新は乏しいですが、「やめてはいない」というのが特徴かもしれません。というのも、篠原紙工で仕事をする中でこの場が自分の逃げ場のような感覚がずっとありました。篠原紙工で起こったことに対して、考えてることや感じていることを文章にすることで無意識に自分の思考を整理していたのだと思います。塵も積もれば、というのか、最近自分が篠原紙工で経験した些細なことが、実は誰かのヒントや力になれるのかもしれない、と考えるようになりました。今回は、組織で変化を起こそうとしている人や、人を導く役割の方、そして若い方にも読んでもらえたら嬉しいです。最後には私からのご提案もあります。

私の経験を一言で言うなら、今の篠原紙工になるまでの土壌を耕す役目でした。昔の篠原紙工はクリエイティブとは程遠く下請けをこなす町工場。経営者と社員の間も単に雇う側・雇われる側という非常に割り切った関係でした。何かあってもお互いに歩み寄り、立場を超えて一緒に会社をより良く変えていこうという感性がある集団ではありませんでした。そのような視点や創造性も必要なかった、のだと思います。20年前くらい前はそれでよかったのです。

しかし、物事も時代も少しづつ変化していき、今の篠原慶丞が代表に(2011-2年あたり)になってから少しずつ下請けではなく製本の立場から提案型の仕事に変わっていきました。が、しかし社長自身が想い描く篠原紙工の会社像は先代の頃とはだいぶ違い、社員も戸惑いと共に苛立ち、不満も生じていました。社長は若さもあって突っ走り、他の製本会社がやらないようなことにトライし、その社長のエネルギーに惹かれて大卒の若い人もちらほら入社し、という流れで古い価値観と新しい価値観が混在し、どっちつかずの会社でした。そんな時に私は入社し、目の前に広がる広大なカオスを整理し社内の土台づくりをするしかないと思い自分の中で覚悟を決め、今に至ります。

それこそ塵積とトライ&エラーの結果、徐々に今の篠原紙工に変化していきました。伝えるために、わかりやすい言葉で表すと今の篠原紙工はキラキラした現場で、ものづくりが好きな若い人がたくさんいる会社、とみられているようです。時々、「どうやって会社を変えたのですか?」とか、同業者からは「印刷紙業界で、若い人がこんなにいる製本会社ありませんよ。すごいですね。」と言われることがあります。お褒めの言葉としてありがたくいただいていますが、広く考えると業界的に困っちゃう問題だなとも思うのですが。でも、きっとどこかで変化を起こそうとして頑張っている人はいるだろうなと想像します。

実は、篠原紙工は若い人が入っても離職率も高いのが現実で、キラキラに見える背後には篠原紙工が篠原紙工でいるための厳しさもあるゆえ、その現実に向き合いきれないのが原因の一つだと思います。誰かから「この会社いいな」「素敵だな」と思ってもらえるのは光栄ですが、個性が強く、自分たちが自分たちであろうとするほど光は強く輝き、それと同時に同じくらいの影も生まれます。会社の内部を整える立場としては、そのバランス、調整力が必要だなと思うのですが、これがなかなかむづかしく、繊細さと大胆さ、決断力や実行力など精神面での忍耐力が必要です。私は独自のやり方でここまで篠原紙工の土壌を耕させてもらいましたが、その途中で本当の味方になってくれる人も社内に少しづつ増え、最近はようやく少しふかふかになった土の中に蒔いておいた種がうずいてるような感じがします。ここまでの道のりは確かに大変だった気もしますが、今が良ければ過去も変わる、というのか、思い返すと私にとっては財産ともいえる経験ばかりです。その培った経験と智慧を誰かにシェアするタイミングはもういつでもいいのかな、と思っています。

2015年4Fオフィス

先にも書きましたが、篠原紙工の変化について時々聞かれても一言で説明できないのと、どこからお話しすれば良いのか…と、未消化のまま会話が終わるというのが常でした。ただ、いつかこの経験をシェアすることで誰かを勇気づけることになるかもしれない、というぼんやりとした想像は心の奥底にいつもありました。それが、今ということで、最初のお話につながります。

さて、私からのご提案というのは、組織の中で変化を起こそうとしている人や、人の上に立つ方々への(経営者も含め)サポートをさせていただきたい、ということです。内容としては篠原紙工に実際に来ていただき、私と対話をする、というシンプルなことですが、きっと何かお役に立てると思っています。私はカウンセリングやコンサルティング業の資格等は全くありませんが、人の話を聞き、話し合うということだけは色濃くやってきたと自負しています。

その経験の中で色々学ばさせてもらい、人間の興味深さというか、誰しも必ず個性と、創造性もあり、豊かなものはすでに持っているということを改めて理解できました。特に人を引っ張っていく立場の人は相手を知るのと同時に、それ以上に自分のことを知る力が必要です。ですが、案外自分のことは見えないもので、そのためにも自分の言葉で誰かに話すという行為はとても重要だと思います。私はその「対話」の相手、という形式で誰かのお役に立てると思っています。どんな方へ…というと、グループ/組織で人の上に立つ人、人を引っ張る立場、これから社会に出る若い方等々、とありますが、今の段階では基本この「綴る」を読んで何かしらピンとくる方ならどなたでも歓迎いたします。

特徴としては今現在私も篠原紙工の社員なので、現実感(リアル)がある話が聞ける、話せることが大きいと思います。篠原紙工も私自身も「これで完成、完璧」ということはなく、少しでもより良くする意識を持つことは、ずっと続くライフスタイルの一つとして捉えているので、「完璧であること」がゴールではありません。未完成だからこそ出てくる言葉で誰かを勇気づけるきっかけにもなると思います。

と、ここまでいろいろ書きましたが、ご興味のある方はメールで、お名前、生年月日、ご職業/役職名、(簡単で良いので)どんな話をしたいか/聞きたいかの4項目を含めたメールをください。詳細はそれからお送りいたします。どうぞお気軽にご連絡ください。
田渕 智子 tabuchi@s-shiko.co.jp


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