ひとだんらく

12月13日「大島五丁目四階蚤の市」来てくださった方々ありがとうございました。来れなかった方々もいらっしゃるかもしれません。蚤の市の次回があるかどうかわかりませんが、何かのイベントで篠原紙工にお越しいただければ嬉しいです。もう1週間以上前のお話ですが、四階では個性豊かな古物商の方々が集まり、それに便乗して1階では篠原紙工がコーヒーや紙、断裁サービスなどを行い、図書室では屋久島のお塩を売るという楽しく不思議なイベントでした。
古物商の方々が着々と準備している様子を見に行くと、いつもの篠原紙工の四階オフィスがまるで野原というか広場のようになっていました。室内なのに屋外のようにも感じるのは床に古布を敷き、その上にポツポツと古いもの達が並べられているからでしょうか。まるで道端で物売りをしているかのように。
各古物商の方々はそれぞれ違うのに空間全体で見ると統一感が出ているところに落ち着きを感じます。全体的に薄茶、ベージュ、オフホワイト、柔らかみとこだわり、一瞬、空気までその色と質感を醸し出しているように見えました。オープンすると人がわんさか。篠原紙工単体のイベントはこんなにわんさかならないので、一瞬あたふたしてしまう自分もおりました。私は図書室の担当でお塩を売る「山川海」さんと一緒にいたのですが、骨董市のついでに図書室に来る方々ともお話ができて興味深かったです。

篠原紙工1階ではドリップコーヒーや全紙の紙販売。それから束見本や若手社員が手と機械を駆使して作ったオリジナルノートを販売。製本の練習も兼ねてのノート作りでしたが、販売するとなると適当な練習の成果物というわけにはいきません。学んだことを活かしながら遊び心と実験心も込めて販売物にまで至りましたが、値段を決めるってとても難しいですね。前日まで悩んでおりました。製本会社が作るノートなので細部にまでエネルギーは注いでおります。使ってくださる方々が何か一味違うぞ、というように何かしらの発見があることを願っております。
ところで、今回の「大島五丁目四階蚤の市」は山口信博さんデザインによるDMポストカードを活版印刷で作ったのですが、私たちにとっては見慣れすぎいているチップボール紙(芯材に使われるグレーの厚紙) に文字情報が刷られているもの。
図書室に束でまとめてドサっと置いておいたのですが、ふと、その塊を見て、せっかくだから数枚は郵便で送ってみようと思い立ち、ペンを取りました。

さて、誰に送るか。名刺を探り、ここ最近仕事を通して出会った方々、久しくお会いしていないなと思う方など、数名に書くことにしました。
さっそく郵便局へ切手を買いに。ものが揃ったところで腰を据えてペンをとり、住所とお名前を間違いなく、余白にメッセージを書く。切手の位置、宛先の位置、文字量がそれぞれ違うのでにどこに書けば一番美しく見えるかを一発勝負で書く。切手を先に貼っておけば良かった…時すでに遅し。あっ…!もう少し下に書けば良かった、逆もあり、左右差もあり。手紙を書くってなかなか大変です。正直なところ、手紙類は満足に書けた試しがありません。しかも頻繁に書くわけではないので、癖でいつも同じような文字位置になっているような気がします。ただ、この一発勝負という潔さと、書いてみないとわからないソワソワ感も自分の勢い力が試される感じで面白いです。書き終わると結構ぐったりですが。
最終的に乱文で見た感じもチグハグポストカードに仕上がっても「気持ちで許してください。」という免罪符と無事に手元に届きますようにと祈る気持ちで赤いポストに入れるのですが、入れた後はなぜだかまた少し気持ちが軽くなって、喜んでもらえたらいいな…なんて思ってしまうのだから、1枚紙を送るだけなのになかなか心が忙しいものです。
当日、そのDM書きっかけで来てくださった方もいて、嬉しさ倍増です。「イベントに良かったら遊びに来てください。」これがSNSやLINEなどのツールを使うと大体レスポンスのやり取りが発生すると思いますが、DMはある意味一方的に出して終わりです。「届きましたよ、ありがとう」と丁寧にメールなどでお返事がくるかもしれないけれど、基本、出して終わりで相手の答えを期待する必要がない、というのもいいですね。受け取った側も人によってはいろいろ感じるかもしれませんが、私はポストを開けて手書きのものが何か入っていると単純に嬉しいです。
