法术

神さまの采配

篠原紙工図書室で5月から展示していた「神迎え」が先週終了しました。
篠原紙工もプロジェクトの一員として携わらせていただいたので、3ヶ月以上と長めに展示をさせていただきました。お越しいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

最終週ということもあって、金曜日は神迎えの発起人であり著者の稲垣さんとデザイナーの谷さんも在廊してくださいました。正直どんな1日になるだろうか?もし誰も来なかったら…?ということも一瞬過ぎったのですが、これこそ神様が降りていらっしゃる?と思わずにはいられない1日となりました。この日は不思議と人が集まる日でした。

神迎えの展示があるとは知らずに仕事のために紙加工のアイデアを探しに来たというデザイナーの方は、在廊していた稲垣さんの言葉にみるみる惹き込まれ、思わず聞き入ってしまいました、とのこと。その他にもトークイベントも含め3回も来てくださった方はまさか著者の方が在廊してるとは知らずの再会で、喜びに満ちた話で盛り上がり終始賑やかな時間でした。おまけに連日で来てくださった学生さんもいたのです!神迎えの展示と図書室の場所がとても興味深かったとのことでその日は別のお友達を連れてきてくださったのですが、「今日はこんなラッキーがあるだなんて思いもせず!」と言いながら閉室まで充実した時間が流れていました。

SNSなどで稲垣さんも谷さんも在廊のお知らせはしたようですが、だからと言ってその告知を見て来た人たちではないというのがおもしろい。潜在的には情報は入ってきてたのかもしれませんが、そうとばかりも言えない感じです。神さまと稲垣さんはつながっているのか?稲垣さんが図書室へ入って来た瞬間、空気が変わった気がした私の感覚は嘘ではなさそうです。やはり、著者ご本人がその場へ来るというのは作品とその物への想いというのがより強いエネルギーとなって放たれる気がします。それに引き寄せられるように人々が集まったのだと思います。

もう一つ、私個人的にとっても嬉しいことがありました。稲垣さんが神迎えの背景や篠原紙工で制作した過程をお話しすると、あるお客さんが「いや、今日はすごいものを見させていただきました。なんだかショックを受けています。こんなに高い精神性でものをつくっていて、そしてフィジカルなもの、紙で表現できることってやはり想像以上に感動しますよね。」と力強い言葉の後に、「自分の仕事を振り返って、納期や予算がこうだから…とか言っている場合じゃないですね。自分の仕事を見返してみます。」と最後は笑いも含めながらでしたが、心が動いたのだろうなという感じのスッキリした表情でお話ししてくださいました。私はこの言葉が聞けて本当に嬉しくて、内心うるっとしていましました。

なぜなら、私が図書室や篠原紙工を通してお伝えしたいことはまさに、誰しもが本来持っている創造性を呼び起こすきっかけをつくることだからです。時にはそれがショックな出来事かもしれませんが、衝撃が大きければ大きいほどその分大きなものも受け取れる、または新たに生み出せると思うのです。図書室を通してどれだけのことがお伝えできるかは未知ですが、この日、お客さんを通して体験させていただいた私の中の感動を忘れずにどんどん進んでいこうと思います。

法术04