法术

伝えたいことは何度でも


新しくなった篠原紙工のホームページでは「デザイン」という項目で篠原紙工で手がけた作品を紹介しています。ディレクションチームのメンバー、またはこの作品はぜひこの人に語ってもらいたいね、というスタッフを選び、制作に当たって思い出深かった話を聞いて文章を作っていきます。

篠原紙工のホームページでは製本会社なのにあまり「技術」とか「スペック」を打ち出していません。このブログに移る前のFactory 4Fのブログを担当していた時も私は機械系のことは言及せず、誰が何をして、どんなことがあって、どんな気持ちだったか、その上、自分の感じたことばかり書いていたので製本会社に勤務しているのにいいのだろうか?と内心恐る恐る書いていた時期もありました。(そもそも機械のことは全くわからない私、と言う前提もありますが…)でも、私の中で機械や仕様のことだけ書いててもつまらないと思っていました。

幸い周囲も理解をしてくれたおかげで、そのスタンスでいると、篠原紙工が私の意識に近づいたのか、私が篠原紙工の意識に近づいたのか、技術だけではない、その制作背景にあった人の気持ちや関わり方を重視するような会社になっていきました。今思えば私の意識と篠原紙工という会社の集合意識が化学変化を起こしていたのかもしれません。

そもそも篠原紙工は早い時期から(技術があった上で)人の気持ちや想いにフォーカスするような会社になりたかったのに、どうしても製本会社=機械のスペック、工場の幅広さ、というような固定観念に縛られていた、もしくはそれを打ち出さないと生きていけない業界という思い込みもあったのかもしれません。

社内で技術やスペックを語る時、スタッフはあまり言葉に詰まることなくスラスラと話しますが、制作中何が一番楽しかったか?印象強かったことは何か?という内容を聞くと一瞬言葉には詰まっても、その人の心の中から出てきた答えを話す時、人はとても充実感に満ちているように見えます。私はこれこそが大事にしたいことだなぁ、なんて毎回思います。

ワークスの文章を作っていて、「想い」「チーム」「まずは、やってみる」というような単語が何回も出てきて、自分でもまた同じこと書いてるなぁ、とも思うのですが、「それでいいのだ。」とも思えるようになりました。伝えたいことがあるって、きっとそう言うことなんだと。なんども形を変えて同じことを繰り返し伝えていく。その時々の伝え方の違いも楽しんで書き続けていこうと思います。

法术04